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理央はこれに、同意しなかった。というより、このエイジという人間の前で、自分のことをしゃべりたくなかった。どんな嘘をついてもバレてしまう。そんな直観を、エイジの目から読みとったからである。
「可愛かったわ。だからホテルに誘ったの。ナニするのかわかっていないみたいだったけど、ついてきてくれたわ」
「アホですね」
ナギのアホさ加減を思いだし、理央は無意識にフッと笑った。
「アホじゃないの。ただ優しいだけよ。それでアタシ、頑張ってムードつくって、ナギちゃんの服も脱がしたンだけど……」
そこまで口にすると、エイジは言いにくそうに煙草の煙を吐いた。まるで、言いにくいことをこんなふうに煙に乗せて言えたら、とでもいうように。
「アタシって、こんなんでしょ?」
「こんな?」
「こんなって言ったらこんなよ!」
「?」
「アンタもナギちゃんと同じ反応するのね……。ホラ、わかるでしょ? アタシがオネエだってこと」
「あ、たしかに」
「え~~。今さらぁ? アンタもなかなかのアホね」
「だって、テレビの中でしか見たことないし」
「そっかァ。ま、無理もないかァ」
「それがどうしたんです?」
「言っていいのかわかんないンだけど……。はじめね、ナギちゃんがイマイチ盛り上がってないのはこんなアタシのせいかと思ったのよ。でもね、違ったの 」
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