17歳、それぞれの世界で。

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「ど、どこ行くのっ? こっちはさらなみじゃないよっ?」 「……」 「か、帰らないとっ。み、みんなきっと心配してるよっ」 「……」  段々と泣きそうなものに変わっていくナギの声を無視して、理央は腕を引っ張って歩き続けた。 「こ、怖いっ。本山くん、怖いよ……っ」 「……」 「しゃ、しゃべって……っ。お、お願い……お願い、だよう……」  海を目指し、沿道の階段を降りたところで、ナギは砂浜に足をとられたのか、膝をついてころんだ。でも、理央はその手を離さない。 「どうして……っ。本山くん、怖い……っ」  立ち上がろうとしないナギを見て、理央は自分がとんでもないことをしでかしたのだと悟った。罪悪感にハッとなって、ナギの手を離す。  互いの汗で、手のひらがじっとりと濡れていた。こんなときでも、砂粒は指のあいだをぬって、侵入してきたようである。手のひらは少しザラザラとしていた。  ナギは逃げることなく、その場に膝を抱えて座りこんだ。一人になりたいときや、完全な拒絶の姿勢を見せるときに、ナギがよくやるポーズだ。理央がこのポーズを見たのは、三回目だった。一回目は去年の夏、三沢という従業員の窃盗を見逃し、理央に咎められたとき。二回目は今年の夏、信太郎と聡が来た翌日。 「……オレが嫌か」  ナギは否定するように、首を横に振る。 「ううん。でも怖い……っ」 「それを嫌っていうんだよ」
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