17歳、それぞれの世界で。

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「……っ」  ナギの目尻に光るものを、理央はこのとき、ハッキリと目にしたのである。  ――――涙。  ナギは、静かに涙を流していた。暗闇の中で集めた光みたいな涙だった。それは徐々に体積を大きくなると、流れ星のようにナギのこめかみに落ちた。 「ナ、ナギ……」  頭が真っ白になって、理央はナギの上からどいた。自分は何も変わっていなかった。だが、ナギはどうだろう。  理央はおそるおそる、ナギのすべてを見た。砂浜に仰向けになったナギは、全身砂まみれになって、はらはらと静かに涙を流していた。砂漠で干からび死んでしまった人のようだった。だが、ナギは生きている。涙がそれを証明していた。  理央はその場にガクッと両膝をついた。目の前の現実は、あまりにも残酷だった。だが、その残酷さをつくったのはこの場において、間違いなく自分しかいないのだ。 「オ、オレ……っ。オレ……っ」  理央は自分の頭を抱え、砂浜に額をつけた。海風に舞った砂が目に入って痛い。涙が出てくる。声を出さずにはいられなかった。 「ああああああっ!」  なんてことをしてしまったんだろう。この無邪気で何も知らない男に。自分のことを友達だと言ったこの男に。  自分への悔しさと怒りで、涙が止まらなかった。身勝手だとわかっていながらも、理央はその言葉を言わずにはいられなかった。 「ごめん……っ! ほんとにごめん……っ! オレ、なんてことを……っ」  謝り続ける理央の声に、ナギのそれが重なる。 「もとやまくん」 「な、なんだ」 「……起こして」  ナギは空に向かって手を広げた。まるで世界を抱きしめるかのように。  理央はかっこ悪くナギへと近づくと、その腕をとった。相手の体をいたわりながら、ゆっくりと上体を起こして支える。
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