17歳、それぞれの世界で。

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「ナギ。オレを殴ってくれ」  理央はナギと同じ目線になって、そう言った。殴ってもらって罪が消えることはないけれど、今ここで、ナギを傷つけた者としての責任が、自分にはあると思ったからだ。  ナギは目尻の涙を親指で拭うと、「へへ」と、弱々しく笑った。 「友達で……特別に好き? 僕のこと」 「……?」 「だからキスしたんじゃないの?」 「オレが嫌になったんじゃないのか」 「嫌だなんて言ってないよ」 「で、でも……今」 「息ができないのは嫌だった」 「……」  ナギのその態度は、正しいとはいえなかった。ちゃんと責めて、糾弾しなければ、人はまた同じ過ちを繰り返す。 「殴れよっ! オレのことを、殴ってくれよっ!」  ナギは首を横に振る。 「な、なんでだよ……っ!」 「エイジくんが言ってたんだ。僕たちの年代の男の子は、性的なことに興味津々になるものなんだって。だから、その衝動を押さえつけようとすることは、僕らには酷なことなんだって」 「違う! オレがおまえにしたことは、犯罪なんだよっ! おまえはオレに傷つけられたんだっ!」 「僕、いいよ。本山くんなら。男の僕でよかったら、キスもセックスも付き合う」  ナギの口から次々出てくる言葉に、理央は悲しい気持ちになった。   
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