17歳、それぞれの世界で。

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「やめろよっ! おまえがそんなこと言うなよっ! セックスとか、軽々しく言うんじゃねえよ……っ!」 「僕はまだそういう気持ちになったことがないからわからないけど……本山くん、去年のキスも今のキスも、性的なものが抑えられなかっただけなんでしょう?」 「違うって!」 「じゃあなんだったの?」  理央は口を開きかけた。その口は、「す」と言いかけていたが、ぎゅっと唇を噛んでその言葉を飲みこむ。自信がなかった。 「……っ」 「本山くん?」 「オレ以外の人と……キス、しないでくれるか……」 「本山くん以外のひと……?」  理央はうつむいた頭をさらに下にして、うなずいた。今は、これが精いっぱいだった。  ナギの手が、うつむく理央の頭に乗せられた。ちょっと笑っているのだろう。 「うん。わかった」  そう言ったナギのトーンは、いつものように高く、理央のすべてを包んだ。  こうして奇妙な約束を、理央とナギは交わしたのである。  とはいえその晩、理央はナギの体に触れることを自分に禁じた。他人の罪に寛容すぎる男の優しさに、溺れてしまわないようにーー。
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