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ずっと
ろうそくに火を灯し、線香を立てる。
「初任給、間に合わなかったな」
姉の墓前で手を合わせる僕の肩を、智也さんがそっと叩いた。
姉は気付いていたのかもしれない。
僕が死のうとした事。
この心臓を、姉に提供しようとしていた事。
自分の命が、もう一月も持たないであろうこと。
だから、初任給まで僕を・・・
菊の花に交じって、所在なさげに刺さっているチューリップ。
それは、初任給で買った、姉の大好きな花・・・
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