僕だけが

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「あ、そうだ、雄心にもお願い」  少し上目遣いになりながら、姉は僕の方を見た。 「スーツのお礼、初任給でしてくれるよ、ね」  いたずらに笑う姉のせいで、僕は姉にプレゼントを渡す事が出来なくなった。  少なくとも、初任給を貰うまでは、この心臓を止める訳にはいかない。 「分かった。待っててね」  言いながら僕は、姉にあげるられるものが、初任給で買えるものなのか、この身の一部なのかを自分でも分からないまま、そう答えた。
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