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今日もこいつは通常運転だと、無心で与えられた菓子を貪っている睦月を見ながら柊は思った。
今現在進行形でポッキーの箱に手をかけた睦月千尋は、とても不思議な男である。
見た目は一瞬性別を判断しかねるくらいに綺麗で中性的な創りをしている。
あまりに人形めいていて表情も豊かなわけではないので、柊は時々こいつはちゃんと生きているのだろうか、とらしくもなく馬鹿なことを考えてしまうのだ。
そんなのが男子校に入ってきたので最初は多少騒つき、その創り物のような容姿から近づき難い雰囲気ではあったが、今ではこうしてクラスの奴らから大量に餌付けされるくらいには溶け込んでいる。
そして、柊は周りからこの睦月の保護者扱いを受けていたりする。
そう。睦月千尋とは、とんでもなく不器用で危なっかしい奴だ。
そんなこいつを放っておけず世話を焼いているうちに、いつのまにか保護者ポジションにつくことになっていたのだ。
最初はそういう扱いを受けるのは不本意だったのだが、最近は割と満更でもなかったりする。
まあそれをわざわざ言うつもりもない。
とにかく、睦月にはどうも構いたくなってしまうのだ。
母性本能をくすぐられる……とでもいうのか。まあそもそも男である俺に母性本能が生じているというのも些か問題ではあるが。
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