林檎の欠片

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元々料理は好きだし、自分の弁当のついでなので別に苦ではない。 だが、こいつはいつものペースで菓子を食べ進めていると確実に昼が入らなくなる。それを周りも知っているはずなのに、どうも甘やかして菓子を与え始める。 睦月からはなんとなく構いたくなるようなオーラが出ていて、甘やかしたくなる気持ちは柊も分からない訳ではない。 だが、それでは駄目だと心を鬼にして注意をしている。 「…柊のお弁当は美味しいから、食べる。でも、お菓子も…食べたい。」 「お前な、そんな目で見てもダメだかんな。とにかく、昼飯の時までこれは没取だ!」 毎度毎度こんなやりとりが恒例になっている。その様子はさながら母と思春期の息子である。 いつもこうして柊が世話を焼いているので、周りから柊は睦月の保護者として扱われているのだ。 まあ、こうして柊が睦月の世話を焼くようになったのにも、いくつか理由があったりするのだが。 ーーそれは入学のときまで遡る
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