第一話 見世物小屋のマリア

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  この肌、まるで人間のようなからだといい、感情を持っていることといい、こんなカラクリ、まったくもってどうなっているのかわからん・・・」  とうに開始の刻限(こくげん)を急ぎているので、構わず急ぎ絵筆を走らせる源内。必死に絵筆の先を見つめる源内の顔がマリアにどんどん接近し、鼻息が胸元にかかった。  「ぷくく・・(≧▽≦)。!   うひゃひゃ・・・くすぐったいってば!源内センセ!!」  我慢(がまん)しきれなくなったマリアが反射的に手を払うと、源内は見事に宙を泳いで六尺六寸(ろくしゃくろくすん)ほど吹っ飛ばされた。  (※一尺(いっしゃく)は約 3 m、一寸(いっすん)は約 30 cmなので、源内は2mほど吹っ飛んだ)  普通の小娘にこんな力があるはずもないが、源内は(おどろ)いた様子もない。  「・・・やれやれ・・・」  絵筆が顔にあたったのか、源内の頬には油絵の具が付いている。    「きゃはは、羽子板(はごいた)で負けたときみたい!」  ため息を付き、座り直しながら脇にあった煙草盆(たばこぼん)を引き寄せた。    「あ、センセ・・・ごごごゴメンなさい・・・」  「毎度(まいど)のことだ、()れている」     
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