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小太りの左官職人=塗り壁などを塗る職人 が、看板を見上げて中に入ろうか、どうしようかと逡巡していると、小屋から若い娘が飛び出してきた。
「もーヤダ!!ガマンできなーーーい!!!」
「マリ・・・いや<お毬>!!見世物を始める刻限になっちまう。もう少しだけ我慢だ、ガ・マ・ン!」
「嫌ーーー!!センセ、源内センセ!!(≧△≦)くすぐったいの、イヤーーーーーッ!!」
* * *
見世物小屋から娘を追って出てきた長羽織の男は、平賀源内。
齢五十一となるこの男は、雑にまとめ上げた髷に無精髭という出で立ちで、背は高いが猫背。
苦労が顔に出いているせいか、頬が少しコケている。
この年の冬、あと半年の後に刃傷沙汰を起こし獄死したとされる男である。
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