第一話 見世物小屋のマリア

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第一話 見世物小屋のマリア

 「もーヤダ!!ガマンできなーーーい!!!」  半裸(はんら)の娘が絶叫(ぜっきょう)とともに見世物小屋(みせものごや)から飛び出てきた。  その娘、(とし)は15、6ほど。  襦袢(じゅばん)(着物の下に切る肌着)は胸のすぐ上あたりまで脱がされ、肩はまる出し。  肌も(あら)わな色っぽい姿で、その小屋の看板に(えが)かれた極彩色(ごくさいしき)花魁娘(おいらんむすめ)瓜二(うりふた)つだった。 飛び出してきた娘は、小屋に入ろうとしていた左官職人(さかんしょくにん)鉢合(はちあ)わせ激突(げきとつ)(ふところ)に突然かわいい半裸の娘が飛び込んできて左官職人は思わず硬直。 (はず)みで、その娘を思い切り抱きしめてしまった。  (イメージ) 左官職人。花の香りに包まれ、目はハート。鼻の下が伸びて、顔がみるみる真赤に…  「ハナシてー!くるしーってばあ!」    左官職人は心がどこかへ行ってしまい遠い目&にやけ顔で娘を抱きしめたまま微動(びどう)だにしない。  そこへ娘を追って長羽織(ながばおり)の男が走ってやってきた。  「やや、すまんな! 助かりもうした」     
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