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2.あらすじ
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
前の晩、毎志は隆貴と酒を飲んでいて、秘密を打ち明けた。
毎日のようにインターネット上の仮想の街に出かけ、OLとして働きながらバレーボールの選手をしているこいもちゃんと会っている。
その度にお互いに愚痴を言ってウサを晴らしている。
すると、隆貴は怒った。
「傷を舐め合っていては互いに成長できない。もう二度と会うな!」
踊り場で目が覚めたのはやけ酒を飲み酔っ払って、帰る途中で眠ってしまったからだ。
しかし毎志は、自分の人生もある時期からずっと踊り場に留まっているみたいだと、ふと思った。
自分は気持ちの面でこいもちゃんを支えてやるべきではないのか。
そのためにも仕事のプロに成ろうと覚悟した。
スーパーの青果担当なのに、野菜の良し悪しすら分からない。
外食を止め野菜を買い料理をして食べるようになった。
また休日に農家を訪ねて行って色々と学んだ。
仕事ができるようになったが、周りの目はさらに厳しくなり、仕事はますます増えていく。
時給は上げてもらえない。
さらに周りの要求に応えようと神経を遣う。
こいもちゃんと会うと、やるべきなのにやっていないことを見抜いて叱りつけようになった。
喧嘩をするようになり、こいもちゃんは現れなくなった。
毎志はストレスで体調を崩して入院、二週間も店を休んでしまった。
復帰すると店長から、体調管理ができてないのは自分の責任だと大声で叱られた。
毎志は怒りを爆発させ、そのまま店を辞めてしまった。
以前訪問した農家の一人である藤野が、毎志が店を辞めたことを知って電話してきた。
そして、野菜の育て方を教えるから農家に成らないかと、誘った。
毎志はやってみようと思っているが、東京を離れることになるしインターネットもこれまでのようには使えないだろう。
こいもちゃんにはもう会えないのか!?
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