序章 少数派

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 高校の友人から、久しぶりに連絡が来た。  『明日、会えないかな。      どうしても、二人きりで話したいことがあるの。   お願い、絶対に連絡を頂戴。』    その友人は、1年前に会社の同僚と結婚し寿退社をしている  そして、半年後には子供が産まれる。  女性が憧れるような幸せを、謳歌しているはずだ。  しかし、送られてきた文章からは、その幸せを感じられる物は無かった。  胸騒ぎがする。  嫌な予感がする。  私は、仕事終わりに来たメールを見て、会う事を伝える返信をした。  『ありがとう。   それじゃあ、いつものカフェで待ってる。』  返信が完了した画面が消えて、すぐにメールが来た。  彼女は私の知る限り、いつも人より少し遅くに待ち合わせに来るし、遊びの連絡をしても何時間か返ってこない事もあるし、のんびり屋でおっとりとした性格の子だ。    得体の知れない恐怖が、自分を襲った。  
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