第三章

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 香織はため息をついて食卓についた。ふとリビングを見ると、妹の詩織が何食わぬ顔でテレビを見ていた。現在、香織が通っていた中学に通っている。こちらは、本物の帰宅部だ。香織は、なんとなくうらやましく思えた。  「そんなことより」母親は続けた。「ソフトボール部の練習、もう始まってるんでしょ。それにしては、帰ってくるの、早いんじゃない?」  「そ、それは、まだ入部したばっかりだから……」  「だったらいいけど、今度こそ、全国大会目指すんでしょ。それだったら、アルバイトなんかしないで、練習頑張りなさいよ。ママは応援してるからね」  「あ、ありがとう」  母親の言葉に、香織はあらためて親のありがたみを感じた。母親のためにも、なんとしても全国大会を目指そうと思った。そのためには、やはりお金だ。
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