時の川を越え

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年の瀬も迫った12月25日。雨の降ったイブと違い、よく晴れたクリスマスの今日、街は賑わっていた。 もうすぐ日付も変わろうかという頃、一人の青年がぼやいていた。 「まったく、クリスマスだってのに仕事だもんなぁ。そりゃあ俺には彼女なんかいないけどよ。警察官ってのも阿漕な商売だなぁ。」 その青年、埼玉県警に勤務する巡査は繁華街の巡回をしていた。お盆だろうとクリスマスだろうと、年末年始にも仕事がある。それが警察官という職業だ。 「問題なしっと。酔っぱらいの喧嘩が無かったのは助かったな。」 月曜日の深夜。普通なら酔っぱらいは少ないのだが、今日はクリスマスだ。明日仕事にも関わらず飲みに出ている者も多い。 「教会か。折角だし祈って行くか。……あれはっ!」 教会の塀にもたれ掛かるように座る人影。酔っぱらいの相手は面倒ではあるが、屋外で寝られては凍死されてしまう。 「金髪だ。……子供を抱いている!」 近寄ってみると、座り込んでいたのは金髪の女性で幼子を抱いていた。 子供は黒髪のようだが、女性の肌は白く顔の彫りが深い。日本人ではなく外国人だと思われた。
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