170人が本棚に入れています
本棚に追加
光の中消え行くルシファーにその言葉が届いたかどうかは、誰にもわからない。
光を失った魔方陣の中央に亀裂が入る。それは大きさを増していき、地鳴りが音を増していく。
「残った力では足りんかったか。この神殿も終わりじゃのう。」
亀裂は四方に広がり、置かれた調度品は倒れて壊れ柱や壁にヒビが入る。
名残惜しそうに周囲を見回した最高神は、傍らに置かれたロボットの肩に手を当てると転移呪文を唱えた。
日の指さない、巨大な地下空洞。かつて繁栄を極めた王朝が誇った巨大都市がそこに眠っていた。
天変地異にて地の底に沈んだ都市は、往年の姿を未だに保っていた。
その最奥に建つ王城の玉座に、二つの影が現れた。
「わしは最後の時までここで世界を見守ろう。コウ、わしはきっと目覚めると信じとる。ルシファーとコウは、世界が終わるまでは離れる事はない。そう願っている。」
最高神の呟きは、暗い城内に消えていく。
最初のコメントを投稿しよう!