零巻 晴ノ日01

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零巻 晴ノ日01

 ―――ガタン  規則的に続く 電車の音が耳に響く  ―――ゴトン  聞きなれた 規則的な音が心地よい  ―――ガタン ゴトン  昨日と同じ景色。今日も同じく流れる景色。ぼんやりと流れゆく日常。  この景色の様に、日々が同じように  この車窓の様に、日常が同じように  流れゆく。同じように、繰り返し繰り返し、流れていくものだと、思っていた。  規則的なリズムを刻む電車の振動が、心地よく眠気を誘う。睡魔を振り払うように、ぐっと瞼を上げ窓の外に視線を向けると、陽光を反射するきらめく水面が目に飛び込んできた。見慣れたはずの通学路の川が、今日は特別に眩しく見える。  目を庇うようにゆっくりと瞬きをして、ほぅっと息を吐いた。  変わりない日常がつまらなく感じることはある。けれど、だからこそ、この日々がどれ程大切でかけがえのないものか、わたしはよくわかっていた。  いや、今日、唐突に痛感した。  わたしにとっては、今日だっていつもと変わらない日だった。けれどそんな今日、たくさんおしゃべりしてくれていたおばあさんが逝ってしまった。  昨日までは、いつも通りだったのに。     
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