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「美奈に頼まれたって嘘ついてた、謝る」
と言って、ナオトは深く頭を下げる。先ほど壁ドンをされたばかりなので、警戒して少し離れたところでお互い椅子に腰掛け、座っている。
「それはいいんだけど、もっと違うとこ突っ込んでいいか?」
「ああ」
「お前、俺のこと好きなの?」
ナオトは何も言わずこちらを見つめて黙り込む。これは聞いちゃいけないやつだったか?
「あ、いや別に変な意味じゃないんだけど…あ、変な意味なのか?」
なんとか先程までの空気を取り戻そうと、取り繕うと、なぜか自分から墓穴を掘ってしまったみたいだ。うんともすんとも言わないナオト。そろそろ気まず過ぎてどうにかなりそうだ。
「そうなのかもしれない」
少し間を置いて、ナオトは言った。先程までとは打って代わり、頬を赤らめふいっと視線を逸らす。なんだこいつ。見た目にそぐわず可愛いかもしれない。
「あぁー、そっか」
男からの告白など人生において一度も経験したことがない俺は、どう答えていいか分からず曖昧な言葉になってしまう。兎にも角にも、この状況を打破すべく、今思っていることをすべて伝えようと決意した。
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