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俺のなけなしの抵抗が、結果的に上目遣いという、男がしてもただただ気持ち悪いだろうものに変わってしまった。ナオトはそんなことは気にせずに照れているだけのように思えた。
ーーまさか。
「なぁ、ひとつ聞いてい…」
「俺は同性愛者だ」
俺が喋り終わる前に結論を言われてしまった。あまり俺自身驚いていないように思う。さっきの彼女いない宣言の方が何倍も驚いたが。あぁ、そうかだから‘’彼女‘’はいないのか。
「そっか…」
「驚いたか?」
「いや、実はそんなに。てかさっきの彼女いないってそういうことだったんだな」
「ああ」
引っかかることがひとつある。
「ナオト。お前、なんでここに来た?」
「美奈に頼まれたからだ」
「そうじゃねえって。だから、美奈に頼まれたからってクリスマスにこんなとこ普通来ねぇだろ」
普通はクリスマスにわざわざ友達の兄貴が独りだからって来るか?いや、来ないだろうな。俺だったら絶対行かない。そう、例え仲がいい友達でも、だ。美奈の考えてることも分からないし、こいつも分からない。そもそも、こいつの名前しかまだ知らない。
「写真を、見たんだ」
さっきまで黙りだったナオトがぽつりぽつりと話し始めた。その顔はまるで、なにか大切なものを見るような目で、胸の奥がチクリとした。
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