1人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、大学二年になったクリスマス間近の日に高橋 聖都という美奈の兄を面白がる美奈に紹介された。
「いっつもクリスマス家に独りでいるのよね。しかもいつもより機嫌悪くて、やんなっちゃう」
愚痴をこぼしてはいたが、兄を心配する兄妹愛が少し垣間見えた気がしたのだ。ほっこりとそんなことを思っていると、一枚の写真を見せつけられる。そこに写っていたのは、目元が美奈によく似た綺麗めな青年だった。
いわゆる、一目惚れという奴だろうか。
写真を見てからというもの、何をするにも聖都はどうしているだろうか、など柄にもないことを思ってしまっていた。
普段は自分から話しかけない美奈にでさえ、自分から兄に会わせてくれとお願いしたんだ。本当にどうかしている。美奈は心底嬉しそうに、いいよ!もちろん!と答えてくれた。
クリスマス当日が待ち遠しくて、仕方ない。声が聞きたい。早く会いたい。自分のモノにしたい。まだ会ってもいない、性格もよく知らない相手に、こんなふうに取り乱すのは初めてで、俺自身驚いていた。
そして、クリスマス当日美奈から行っていいよ、というお許しの連絡が来たので、すぐに出掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!