1.捕らわれた娘

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
しかし、何故…… 「おい、黙ってろ、奴隷ごときが!」 「奴隷?」 言うつもりのなかった言葉が何故か出てしまった。そのくらい、不思議に感じたのだ。 「お前達、その少女、このあとどうするつもりだ?」 いろいろと聞きたいことがある。ただ殺すつもりならば、もらっても構わんだろう。 「はっ、処刑する予定となっております!」 兵士は大声で答える。 「なら、僕がもらっても構わないよな?」 少しだけ、兵士達に重圧をかけてみる。 「か、構いませぬが、皇子の身に危険が……。」 「大丈夫だ。さっきの言葉遣いからして、ただの乱暴者なわけでは無さそうだしな。手錠を取ってやれ。」 兵士達は少女の腕から手錠を外し、僕の前に立たせる。少女は、麻色のボロボロの袖の破れたワンピースしか着ておらず、いかにもみすぼらしい。背丈は僕の肩ぐらいまでしかないようだ。 「なにか問題があったら、僕に言ってくれ。そこのメイド。こいつに予備のメイド服を着せてやってくれ。流石にこの格好じゃ寒いだろう。で、着替えが終わったら、僕の部屋に連れてきてくれ。」 近くを歩いていたメイドに声をかけ、着替えさせてやるよう、頼む。メイドはしっかりと返事をし、少女を連れていく。     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!