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2.貴方を護る
「皇子、支度が完了いたしました。」
ドアの外から、メイドの声が聞こえる。執務机から離れ、ドアを開けた。
「入れ。支度、ありがとう。助かった。」
「い、いえ!どうぞごゆっくりお過ごしください!」
メイドは少女を部屋にいれると、逃げるかのように走り去ってしまった。少女はロングスカートのメイド服を着せられており、よく似合っている。侍女として、この宮殿にいても、誰も疑わないだろう。
「ソファーにでも座ってくれ。君にはいろいろと聞きたいことがあるんだ。」
「はい。」
少女は、ドア側のソファーに腰掛ける。
「紅茶でよかったか?」
ことん、と彼女の前に紅茶の入ったティーカップを置き、そう、声をかける。
「は、はい。ありがとうございます。」
僕は自分の前の机にも同じ紅茶を置き、反対側のソファーに座った。前のめりの姿勢になり、早速本題に入る。
「で、聞きたいのはお前の生まれのことだ。あ、けどその前に名前、教えてくれ。」
少女は紅茶を一口すすり、こちらを向いた。
「ヒュラ。ヒュラ・サラクです。この国より、もっと、北にある国の出身です。」
ヒュラ、そう名乗った銀髪の少女は安心しきったような目でこちらを見る。
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