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「精霊の加護ばかりは、いかようにもならない。故に、この剣を以て私の意思とみなして頂けるよう、切にお願い申し上げる」
その言葉に、しかしそれは何処か呆れたような声を返した。
『精霊魔法など。そんなものは俺の前では何にもならん。……もしやお前、自分が何者か判っていないのか?』
「……グランデル国王が第三子、ロステアール・クレウ・グランダ。肩書を申し上げるのならば、グランデル王立騎士団第一部隊の副隊長ということになる。私はこれ以上でもこれ以下でもないと自負しているが」
『俺はもっと本質的な話をしているんだがな』
そう言ったロステアールに、やはりその瞳に呆れたような色を滲ませたそれは、亀裂の向こうから、ぬっとその首を出した。露わになったその姿に、ロステアールが再度目を見開く。
深紅の鱗に覆われた、角の生えた爬虫類のような姿。その全容こそ把握できないものの、ロステアールはこれに良く似たものを、何かの本で見たことがある。
「……貴殿は、ドラゴンか……?」
『見れば判るだろう。ああいや、お前ら人間は、翼持ち鱗あるものを一様にドラゴンと呼称しているのだったか。では答え方を変えるか。俺は、竜種という意味でのドラゴンだ』
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