アラーム

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あなたは覚えていたのかもしれない。このピアスをクリスマスにプレゼントしてくれたことも、あたしの癖も。彼が本心でないことを言うとき、喉仏のあたりを触る癖をあたしが覚えていたことも、ちゃんとわかっていたのかもしれない。 あたしは来春、結婚式を挙げる。 よくあるマリッジブルー。ありふれた感情の行き場はどこにもない。今更、口に出すこともできない。お互いの記憶に残っていた事実たちが、なにかを完全に清算できたわけでもない。ただ、リスクを負うことも、手放すこともできないと、時間は過ぎていたと、彼もあたしも、理解してしまった。 帰りにコンビニに寄ろう。部屋に戻ったら、いちばんに時計の針を合わせて、朝のアラームをセットする。目覚めてから、きちんと朝ごはんを摂って、新しい日を迎えよう。
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