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市杵島は自分を刻みつけるように、深く穿った。前立腺を擦り、最奥まで埋め込む。内襞がきゅうっと締まった。手の中の暁人が感極まったように弾ける。
「んっ、んぅっー!」
暁人は背中をしならせ、達した。それに誘われ、市杵島も己の精を放出する。そこでようやく、キスで封じていた唇が離れた。
「ぅ……はぁッ、はぁッ……ン、あ……」
茫然自失といった体で、暁人はとろんとした表情で息をついた。顔は真っ赤に染まり、生理的な涙でぐしゃぐしゃだ。突然の大波に攫われ、快楽の大海原に放り出されたようだった。
「大丈夫かい?」
市杵島の手が、汗で張り付いた暁人の前髪をかき上げる。言葉が出ず、暁人はこくんと頷いた。頭を撫でる手や自分を見つめる眼差しが優しくて、胸がじんわりと温かくなる。
それは市杵島も同じようで、照れ臭そうに言った。
「あー……何ていうか、幸せってこんな感じだった気がする。好きな子と抱き合ってさ」
長い間忘れていたよ、と呟く市杵島に、
「あんたが幸せなら、それでいい」
「お前さんは?」
「え?」
「お前さんも幸せかい?」
真顔で問われ、暁人は小さく頷いた。恥ずかしくて、言葉にするのはなかなか難しい。それでも市杵島は満足した様子でへらっと笑った。
「そいつは何より。じゃあ、もっと幸せ堪能しますか」
「わっ、待っ……ん」
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