5人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
第一話 名探偵のいる生徒会から
あの日の感動を………僕は一生忘れることはないだろう。
「あのさ………光………僕………君の事が好きなんだ」
あれは爽やかな風が吹く、初夏のことだった。
彼女はまぶしい光に包まれながら、天使のような優しい笑顔で返した。
「うん!私も悟のこと好きだよ」
ああ、想いが通じ合うっていうのは………こんなに素晴らしいことなんだ………。
僕は素直に感動し、素直に光を抱き締めた。
だけど………。
あれからもう二ヶ月が経過するというのに………。
僕たちはキスはおろか………手をつないだこともない。
つまり………全く進展がないのだ。
別に………僕はその………キスがしたいとか………その………まあ、とにかく………邪まな気持ちで悩んでいるんじゃない。
彼女があの日僕に言った「好き」と言う意味………。
あれは………
「チョコレートパフェが『好き』」とか………
「熊さんが『好き』」とか………
そういうのと変わらないレベルだったのではないか。
光にとって僕は………まだ、ただの好ましい友人としか捉えられていないのではないか。
そういう不安を抱えている訳で。
「おい。鏑木」
つまり………僕は………。
「おい。鏑木?」
最初のコメントを投稿しよう!