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-ねぇ、かずくん
-なぁに?しょうかちゃん
-かずくん、大きくなったら何になりたい?
-ぼくはねぇ…好きな人を幸せに出来る人になりたいな
-かずくんならなれそうだね
-ありがとう。しょうかちゃんは何になりたいの?
-わたし?わたしはね、お嫁さんになりたい、かなぁ
-ふぅん…だれの?
-うふふ、内緒
-そっかぁ。でもしょうかちゃんならだれのお嫁さんになっても幸せになれそうだね
-そう?ありがとう
6歳の頃にこんな話をした。
しょうかちゃんこと茶寮生華はかずくんこと佐藤和の幼馴染みだ。両家庭とも片親で、家が同じアパートだった。
小学校も中学校も同じで、仲が良かった。
その頃から、整った顔をしている生華は常に誰かと付き合っていた。
そのせいかは知らないが、小学生、中学生の頃はいじめの対象になっていた。
友達がいる気配もなかったので僕は心配してよく声を掛けに行った。だが生華は気にする気配もなく「友達なら和くんがいるわよ。それに○○くんもいるから何てことないわ」と和とそのときの彼氏を並べて言い、汚された机や上靴、教科書なんかを片付けていた。
僕はというと、生華をいじめている集団から生華の取り巻き、生華の餌食の一人として認識されていた。崩れた顔というわけではなかったが、この頃僕に彼女が出来ることはなかった。
高校生になる頃、和が引っ越し、二人の家は遠くなった。
高校も離ればなれになったので、会うこともなくなった。
僕は生華と会いたかった。けど、生華はそうでもなかったみたいで、中学の頃と同じで男をたぶらかしては傷つけ、付き合っては別れを繰り返していた。
生華が18歳の誕生日、僕はプレゼントをあげることにした。同い年で同じ小学校、同じ中学校に通っていたよしみだという口実をつけ、大学生になる前にもう一度会いたいという願望を表に出さないように気を付けながら生華の家に向かった。
何度も通った道だったので迷うことなくたどり着いた。
インターホンを押したが、ピンポーンという音の後、物音ひとつしなかったので数分後僕は自分の家に帰った。
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