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②僕と彼
―ねぇ、かずくん
-なぁに?しょうかちゃん
-かずくん、大きくなったら何になりたい?
-ぼくはねぇ…好きな人を幸せに出来る人になりたいな
-かずくんならなれそうだね
-ありがとう。しょうかちゃんは何になりたいの?
-わたし?わたしはね、お嫁さんになりたい、かなぁ
-ふぅん…だれの?
-うふふ、内緒
-そっかぁ。でもしょうかちゃんならだれのお嫁さんになっても幸せになれそうだね
-そう?ありがとう
6歳の頃に、こんな話をした。
僕が5年生だった頃、生華は僕に夢を語ってくれた。
「私ね、大きくなったらお嫁さんになるの。最高に綺麗なお嫁さん!」
僕は期待混じりに聞き返した。
「誰のお嫁さんになりたいの?」
すると生華は、にこりと笑って、
「内緒。」
と言った。
その頃、僕は2つ上の兄の友達とよく遊ぶようになった。
その人は生華のことをよく知っていて、いろんなことを教えてくれた。
虫が嫌いなこととかチョコレートが大好きでよく虫歯になっていることとか。
一度、気になって尋ねたことがある。
「おにいちゃんは生華ちゃんのお兄ちゃん?」
と。
「まあ、そういうようなものだよ。」
生華の兄ではなかったようだけど、そのようなもの、ということだったのでなるほど、それでよく知っているのかと納得した。
別の日、生華が中学校の前でぼーっと立っているのが見えた。
声をかけようと近づこうとしたら、門の中からおにいちゃんが出てきた。
(おにいちゃんと生華ちゃんだ!)
そう思い、改めて声をかけようとすると二人は、手をつないで家の方向へ歩きだした。
仲がいいんだな。
その日は声をかけなかった。
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