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生華の笑みを聞き、和はため息をついた。
「ストーカー、って。ひどいなぁ」
ハハッと笑い、生華を見る。
濡れた薄手の服が透け、肌の色が露になっていた。
「ひどいって、なにが?着いてきてたんでしょう?」
くるりと後ろを向き、軽く微笑みながら歩いていく。
どうやら、帰るようだ。海に沈んだ男性を一瞬も振り返ろうとせずに。
「一応君の幼なじみだし、2つ年上なんだけど?」
「あら、知ってるわよ。バカにしないでよ」
和の言葉を軽く流す。
「私そんなに物忘れ激しくないわよ」
ふざけたように舌を出し、ベーっとでも言いそうな勢いで顔をしかめる。
秋の冷たい風が頬を切る。
「生華ちゃん、寒くないの?」
「寒いわよ。当たり前じゃない?全身びしょ濡れよ」
当たり前、と言われ、そりゃそうかと思い和は生華の隣に並んだ。
「生華ちゃん、これ。」
そう言い、着ていたパーカーを生華にかけた。
生華は、あたりまえ、のようにそれに袖を通して歩きだした。
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