彼の。

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彼の。

 生華を夜の海で見かけたあの日、和は生華に話しかけた。 「生華ちゃん、あの人はなんの人?」 「没落企業の社長さん。」 「なんで海なの?」 「泳ぐの下手って言ってたし。」 「そうなんだ。心中までしようとしたの初めてじゃない?」 「そりゃ、リスクがあるからねー」  和は、生華の家付近に着くまでずっと話しかけていた。  生華は心ここにあらずといった感じで、聞かれたことの最低限しか答えなかった。 「じゃ、生華ちゃん。気をつけてね?色々してるんだし恨まれてるかもしれないんだから」 「はいはーい」  軽い返事をし、生華は自分の家に帰っていった。  生華を送った後、和は一人家路についた。 「あー、久しぶりに生華ちゃんに会ったなー...。相変わらずだった」  などと言いながら服を脱ぎパジャマに着替えベッドに入った。 「相変わらず...うん、相変わらず可愛かった。」  一人頷き、生華の次の相手がどんな人なのか予想しながら眠りについた。
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