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そして、私の願いが叶った。
ある日、偶然この村に来た領主様がわたしの顔を見て「養女にしたい。」といきなり言ってきた。
なんでも領主様は事故で一人娘を亡くして、悲しみのドン底にいたけど、偶然、立ち寄った村に娘とそっくりな私を見つけ、ぜひ養女に迎えたいとのことだった。
あまりにも唐突なことで、どう言っていいのかわからなかったけど、私は願いがかなったのだと思い、「養女になりたい。」とその場で答えた。
それから私は幸せだった。
毎日、キレイなお洋服を着て1日のんびり過ごしていた。
朝早く起きて水を運ばなくていい。
代わりにメイドがやってくれるから。
洗濯だって、掃除だって代わりにやってくれる。
料理だってやらなくてもいい。
だって専属の料理人がいるから。
毎日、高級食材を使った料理が出てきて、とても美味しかった。
(わたしってスゴい?もしかしたら願えば、なんでも叶えてくれるのかしら?)
そう思った時、今までの事が普通ではないと思うようになった。
水を溢してしまった時、必ず大人が来て代わりに水を汲んできてくれた事もあった。
村の子供達と森に行った時、野生の動物に襲われも大きな怪我なんてしたこともない。
お腹が空いた時には、お菓子などをもらっていた。
なぜ、自分がこんなにも幸運なのか。
一度だけお義父様に聞いてみた。
『それは、マリアがとても皆から愛されているからだよ。』
その言葉に、ストンと何かが収まった感じがした。
みんなが助けてくれるのは、自分が1番愛されているから。
みんなが物をくれるのは、みんなに愛されているから。
そして、願いを叶えてくれるのは、世界に愛されているから。
(そうよ、きっとそうよ。私は、みんな・・・いや、世界に愛された子供なの。)
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