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2.あらすじ
目覚めるとそこは屋上階段の踊り場だった。
さっきまで胸くそ悪いひったくり犯の裁判を傍聴していたはずだったのに。
主人公は不思議に思いながらあたりを見回すと、四階程度の建物にいることがわかる。ここにいても埒が明かないと階段を降りようとしたところ、地上に見知った人物を見つける。さっきまで傍聴していた裁判の被害者が買い物袋を自転車のカゴに載せている。被害者は自転車に乗り自宅方向へと走り出す。そのときもう一人の見知った人物(被告人)がスクーターで走ってくるのが見えた。混乱しながらも、ひったくりがこれからおこなわれるのではないかと勘付く。しかし被告人は被害者のわきをすり抜けただけで何も起きない。一瞬ののち、被害者の悲鳴があがる。自転車は倒れ、被害者も道路に投げ出された。本物のひったくり犯は被告人とまったく同じバイクに乗った背格好の似た人間であることを目撃する主人公。被害者が被告人をひったくり犯だと指差して叫ぶ姿を見ていると、主人公はふと意識を失う。次の瞬間には傍聴席に戻っていた。
裁判は被告人劣勢で進んでいく。主人公はそんな馬鹿なこと、と思いつつも、己が目にしたものを忘れられない。その日は判決までたどり着かずに閉廷。すっきりしない想いを抱えた主人公は弁護士に接触し、無実の証拠を一緒に探したいと申し出る。
半信半疑ながら懸命の捜索で真犯人のてがかりを見つけていく。その過程で、主人公と弁護士それぞれの犯罪や犯罪者に対する考え方の違いを認識し、ふたり共が頑なだった自分に気がつく。
真犯人は無事見つかり被告人は無罪判決。謝辞を述べて立ち去ろうとする主人公を、弁護士が引き止め、自分の弁護士事務所へアルバイトで来ないかと誘う。検事志望は変わらないものの、視野を広げることの大切さに気がついた主人公は誘いを受ける。
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