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二人はソムリエのいるワインバ―で一本数万円の白ワインを開け、そのあとカクテルバ―へ移動した。
もう、マリアは、ろれつが回らない程の酔い。
「もう、ジュースにしましょうよ」
と香島は、マリアをカウンタ―の椅子に座らせて言った
「まだ11時よ。どうしてジュースなの?」
気の利いたバ―テンダ―が、マリアのために柚子ジュースベ―スの、アルコ―ル度数の低いオリジナルカクテルを出してくれた。
香島はウイスキ―ダブルをロックで、いつものとおり。
煙草に火をつけ、煙を深く吸い込んだ。
次にマリアが何を話し出すか、酔いながら待つのも楽しい。
好きな女性の隣に居られる
こんな幸せってあるか?
今は、ただ、嫌われないようにすること
それだけだ
「ねぇ、どんなタイプの女性が好きなの?」
マリアは、長い睫毛を瞬きさせてから香島を見つめた。
貴女がタイプです
「それは、場所を変えてお話しましょう」
香島は意味深に言って、マリアにウィンクした。
「今、聞きたいの。私でダメだったら、今、諦めるわ」
マリアは真顔だ。
「そんな、マリアさん」
香島は、他の客人達に会話が筒抜けなので、場所を変える必要があると感じた。
香島はレジにカ―ドを渡して会計を済ませた。
「僕の家に行きましょう。落ち着いて話も出来ますし、嫌ならすぐにタクシ―呼びますから安心して下さい。行きましょう」
香島とマリアは外でタクシ―を拾った。
マリアは少し警戒しているようにも見える。
香島は安心させるために、マリアの手を握った。
「冷たいな、寒い?」
マリアは頷いた。
香島は、マリアに体を近づけ腕を回し、肩を抱いた。
小さくて華奢だ。守りたくなる。
マリアは香島に体を預けてきた。
これは、マリアの意思表示
今、香島の愛の炎が燃え上がった。
彼はマリアの髪にキスをした。マリアは顔を上げた。
肉感的な唇がそこにある。香島はマリアの唇にキスしてしまいそうになった。
すると、もうタクシ―は円山の香島の自宅前に到着した。
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