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清算
香島とマリアは頻繁に会うようになった。
毎週水曜日の英会話教室の帰りも、食事をして帰るようになった。教会ボランティア活動も休むことが多くなった香島。
マリアは、パトロンが抜き打ちでマンションにやって来るため、自宅に香島を泊める事が出来ない。
高田はマリアの体の変化に気付いていた。
挿入した時、中が広がっている。
サイズの大きな男が相手だということも。
「マリア、おまえ、男出来たな」
マリアは弁解しない。
高層マンションのリビングから見渡せる札幌の大夜景を見下ろしたまま。
「今すぐ、別れろ」
「………………」
「俺のどこが不満なんだ? 金なら、毎月もっとやる」
頭はハゲハゲ、腹も出ているチビ親父
香島さんと180度対称的
高田から長い間、毎月充分過ぎるお手当てを貰っていたマリアは、かなりの額を株に投資している。
パトロンが居なくなっても強気だ。
「一週間以内にケリつけろ」
「もうそろそろ、私を自由にして下さい」
「おまえにボ―ナスやるから、考え直せ」
高田はセカンドバックから1000万円札ブロックが入った分厚い封筒を出して、勢いよくテ―ブルに置いた。
マリアは黙っている。
「足りないか?」
高田はさらに1000万の小切手を切った。
そして言った。
「もし、別れないのなら、これは、手切れだ」
マリアはそれでも黙っている。
高田は、マリアが自分から離れたのだと確信した。
「 そうか…………………………… そういう事なら、 あとで、このマンションの権利書、部下に持ってこさせる …………………後悔するなよ。お前のような金のかかる女は、サラリ―マンの女房など勤まらん。すぐに別れて俺のところに泣きついてくる」
高田はそう断言した。
「ご迷惑はかけないように、これからは自立して頑張ります」
高田はマリアを引き止める言葉を探せなかった。
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