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英会話教室
香島は朝から落ち着かない時間を過ごしていた。
今日は英会話教室の日。
マリアに会える日。
聖母マリア様のマリアではなく、同じ英会話上級クラスの青山マリアさん。
香島の人生史上最高得点の美人。
と、彼は思っている。
かなり小柄で華奢な彼女は、女優以上の美しさ。大きな瞳に長く濃い睫毛。ツンと上を向いた形の良い鼻、肉感的な厚い唇にはいつも薔薇色のルージュが塗られている。
年令はそれほど若くはない、30才くらいと香島は見ていた。だが、春の自己紹介で「独身です」と話していた。
それ以来香島は、毎週水曜日は休まずに、英会話教室に通っている。
最後の油彩教室の生徒が帰ると、香島はアトリエを片付ける時間もなく、手に付いた絵の具を落とした。
そして慌ててグローゼットの扉を開けた。
絵の具で汚れてない服を探す。
先月、服のまとめ買いをしておいて良かった。英会話教室に通うようになり、身の回りを構うようになった。
急いで服を選び、髪を整える。髭を剃り、歯を磨き、少し香水をつけた。
地下鉄円山駅から大通り駅へ移動。
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