英会話教室

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 年明けの地下街をポ―ルタウン方面に歩き、英会話教室の入っているビル近くの出口から、地上に出た。  香島は腕時計を見た。  遅刻だ。  急いで英会話教室のビルに入り、エレベ―タ―に滑り込む。  心臓がドキドキしているのは走ったせいさ。  香島は自分にそう言い聞かせた。  上級クラスのドアを開ける。 「Sorry for late」  男性外人講師はニッコリ頷く。  いつも香島は、青山マリアの斜め後ろ辺りに席をとる。  彼女の美しい横顔にうっとりし過ぎて、講師の質問に答えられない事もある。  それでも、講師が変な日本語でジョ―クを言い、マリアが大笑いして、香島に笑いかける事はよくある。  又は、テキストを読んでいる香島を振り返り、微笑む。  なぜ、俺に笑いかけてくれたの?  その度に香島は翻弄され、過度の期待をしてしまう。  同じクラスになり、9ヵ月が過ぎたのに、友人にもなれていない。  桜子との禁断の秘め事は、恋ではなかった。  でも香島は、青山マリアに恋をしている。  今夜のマリアは、ラメ入りの紺色のミニのシャネルス―ツを着ていた。柔らかな茶色の髪をアップにまとめて、黒いオニキスのイヤリングが揺れている。  彼女の長い爪は、宝石のようにデコレ―ションされていて、彼女が少し動く度に香水が香る。     
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