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「ゴホッゴホッ……うわ、埃臭いな……」
到底人の部屋とは思えない。ドアを開けた途端に 埃が舞い上がったのだ。
「みっちゃーん! ここここ!」
彼女の名は神崎美咲。大学を卒業した今でも私のことをみっちゃんと呼ぶ幼馴染だ。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学が全て同じーーさらに言うとどちらも理系であり、学科も同じーーというなんとも言えない腐れ縁でもある。
美咲のそばに駆け寄るとさらに埃が舞った。
「美咲、掃除してるの? ってかよく住めるね……」
「ちょっとみっちゃん! 私のことは前みたいに“みさ”って呼んでって言ってるでしょ!ーーここは私のくつろぎの場である! 埃はこれくらい舞っていたほうがちょうどいいってもんだ!」
はい、わかりました。掃除をしていないのですね。
「で、本題に入ってもらっていいかな? 今日ここに私を呼んだのはなぜ? つまらない用事で埃だらけの部屋に入らされたって知ったら怒るよ?」
「絶対怒んないと思う。ちょっと待って……あ、あった、これ」
美咲から手渡された古い写真はいつのだろう。いつの集合写真だろう。勇貴がまだいるのだから中学生の頃の写真か……?
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