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時雨「け、『獣』を解放...?攻撃を受ける...?」
提督の言葉が理解出来ない。姉さんや妹達、矢矧さんや仲間を傷つけ兼ねない『獣』と戦うつもり...?
影政「...大志から聞いた話から、お前の『恐怖』は『獣』にあると推測した。
駆逐艦に合う筈もない戦艦の力...強力過ぎる力は味方を傷付け兼ねない。
時雨...お前はそれが怖いんだろ?強制的な改造で得た力...決別する事も出来ず、さりとて扱えるかも分からない......」
時雨「...っ...」
提督の言葉に僕は何も言い返せなかった。...まるで僕の心を見透かす様に的確だった。
影政「......だが、力に善も悪も無い。」
時雨「...え...?」
提督の呟きに僕は首を傾げる。
影政「力は元々中性なんだよ。力を持つ者次第で仲間を守るし、敵を葬るし...仲間を傷付けたりする。
...大事なのは『意思』......お前が何の為に戦い、力を使うのかという『意思』だ。
...覚えてるか?『獣』が俺の腕を噛みちぎろうとした事。」
時雨「......っ...忘れる訳が無いよ...」
────影政【噛み千切りたいなら噛み千切れ。腕の一本、惜しくはない。】────
あの時の提督の言葉が脳裏に蘇る。
影政「...あの時、お前は『獣』を抑えた。あの時は他人同士の仲だったとは言え、傷付ける事を拒んだ。
お前自身の『意思』が『獣』を一時的に抑えた。
...だから出来る筈なんだよ、時雨自身の『意思』で『獣』を降す事が。」
提督は鋭い目付きのままそう言った。
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