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時雨【黒鬼】「...グゥゥ......何故......何故諦めない...!
力を暴走させて大切なものを傷付けてもいいのか...!」
『獣』は眉間から溢れ出る血を抑えながら忌々しげに言い放つ。
時雨「......もう、決めたんだ。僕は逃げない。
僕に宿る『獣』を扱い切れずに提督や姉さん、村雨、夕立、矢矧さん......艦隊の皆を傷付けたとしても、それを受け止めて次に繋げる。」
時雨【深海】「......だが、それが命を奪う事になったらどうする...?」
目の前の『獣』が眉間の傷から手を離し、血を流しながら聞いてくる。
時雨「そうならない為に、『獣』を扱える様に全力を尽くす。
...君は言ったよね?『僕と【獣】は表裏一体』だって......だったらきっと扱える。裏だとしても、身体に合わない力だとしても...『時雨』なんだから。」
そう言った僕は、身体を打つ雨が何となく弱くなっている様に感じた。
時雨【深海】「......その決意、信じても、いいんだね...?」
『獣』の声が僕とそっくり...いや、同じになった。
僕を見つめる蒼白い眼光も無くなって、僕と同じ目をしていた。
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