第14話 雨は何時か止む

40/49
前へ
/454ページ
次へ
時雨【黒鬼】「...グゥゥ......何故......何故諦めない...! 力を暴走させて大切なものを傷付けてもいいのか...!」 『獣』は眉間から溢れ出る血を抑えながら忌々しげに言い放つ。 時雨「......もう、決めたんだ。僕は逃げない。 僕に宿る『(キミ)』を扱い切れずに提督や姉さん、村雨、夕立、矢矧さん......艦隊の皆を傷付けたとしても、それを受け止めて次に繋げる。」 時雨【深海】「......だが、それが命を奪う事になったらどうする...?」 目の前の『獣』が眉間の傷から手を離し、血を流しながら聞いてくる。 時雨「そうならない為に、『(キミ)』を扱える様に全力を尽くす。 ...君は言ったよね?『僕と【獣】は表裏一体』だって......だったらきっと扱える。裏だとしても、身体に合わない力だとしても...『時雨()』なんだから。」 そう言った僕は、身体を打つ雨が何となく弱くなっている様に感じた。 時雨【深海】「......その決意、信じても、いいんだね...?」 『獣』の声が僕とそっくり...いや、同じになった。 僕を見つめる蒼白い眼光も無くなって、僕と同じ目をしていた。
/454ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加