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〇九〇〇 横須賀抜錨より約七十八時間 太平洋上━━━
~瑞鶴side~
瑞鶴「...帰ってきたわね。」
西の空を見上げていると、一機の索敵に出した九七艦攻が私の所に向かってきていた。
私は今、武装挺『冲波』の当直警戒で挺の周りを走っている。
行けども行けども海...世界で一番広い海、太平洋を私達は南へひたすらに走っている。
瑞鶴「おかえりなさい。......うんうん。...提督さん、この辺りに敵影は無かったって。」
私は帰ってきた索敵機を甲板に着艦させて妖精から報告を聞き、左耳の通信機に手を当てて提督さんに伝えた。
影政『そうか。だが油断はするな。安全な航路とは言え、潜水艦がうろついてるかもしれない。対潜警戒を厳となせ。』
瑞鶴「了解。...ねぇ、提督さん。」
影政『ん?どうした?』
瑞鶴「『トラック諸島泊地』って、どんな所かな...?」
影政『......さぁ、な。俺も話に聞いただけだし、行ってみなきゃ分からん。...流石にクーラー完備だとは思うが。』
瑞鶴「『大湊』は毎日寒くて大変だったなぁ...冬なんか厚着しても暖かくならないし...」
そんな事を呟く脳裏に『大湊』での苦い記憶が蘇る。
塩分を含んだ海からの冷たくて強い風...(確か、ヤマセとか言ってたっけ...)プールや海からあがった時みたいに髪がゴワゴワになって一日5回はシャワーを浴びた。
瑞鶴(おかげで今も傷んだまま...『大湊』に居た頃よりは増しになったけど。)
私は自分のツインテールに触れながら心の中で呟いた。
冬場の戦闘には良い思い出が無い...敵の艦載機が飛べないのはありがたかったけど、駆逐艦が脅威だった。
吹雪で視界が悪い時なんかは皆一発は魚雷をもらった。いつの間にか背後に居て、雷跡に気が付いた時には......
瑞鶴(...気付けても、寒さで反応が鈍って避けれない事が多々あったわね。)
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