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花火
花が咲いた空の下
ふたり
どちらともなく寄り添って
水に浮かぶ光が
あなたの横髪をそっと照らす
目が合うと
その頬を赤色が薄っすらと染めて
すぐに逸らして
その瞳は遠くを見る
触れた手のひらが熱を帯びる
電車に揺られていても
はっと目を覚ます朝も
花の咲く音が
まだ耳に残って消えない
人が交わって流れゆく
甘い香りがふんわり漂う
あの夏が
もうずっとこの心の隅に住み着いている
花は咲いてもすぐに儚く散るのに
あの日の空は何も変わらずに
いつだってわたしを見ているから
陽の照らす街に闇が落ちて
小さな光が道を照らすとき
花は咲く
星の舞うの夜空に
あの日と同じ
夏の音を立てて
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