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それから、ちょっと意を決したように、
「あ、あのさ。一つ、どうしても聞きたかったことがあって、前から」
「うん?」
「沙耶ってさ、俺といる時、絶対にお酒飲まないじゃん。あれって、なんで……?」
「え?」
「いや、あの、もし俺が未成年だから気を使ってるとかだったら別に全然お気になさらず。飲まないし、成人するまで、ちゃんと」
彼はなんだか早口で言った。
確かに、あたしは龍一といるときはお酒とか飲まないけれども、それは気を使っているとかじゃなくて、
「だって、一人だけ酔ってしまったらつまらないじゃない。それだけ」
そんなに弱いわけでもないけれども、強いわけでもないし。
「せっかく二人でいるのに」
「あー。なんだ、そういう……」
龍一はちょっと安心したように笑った。
「気を、使われてるのかなって。年下だから」
「違うよ」
それに、あなたは自分が思っているほど、あたしに年下だとは思われてないよ。まだ、教えてあげないけれども。ちょっとだけ、年上としては悔しいから。
「それじゃあ、来年の龍一の誕生日には、とっておきのお酒、用意しとくから」
まだ、二人でやったことがないことがある。これからまだまだ新しいことができる。楽しみでならない。
未来が楽しみ過ぎて早く来て欲しくて、でも今も大切で、どうしたらいいか困っている。
「楽しみにしている」
1年後には20歳になる、あたしの大好きな恋人は微笑んだ。
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