俺が生まれる七年前に

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 どうにか指輪も購入して迎えた、沙耶の誕生日当日。幸い、今年は土曜日だったので沙耶の仕事は休みだ。  お昼の一時間ぐらい前に、沙耶の家のチャイムを押した。 「おはよう」  微笑みながら沙耶がドアを開ける。そして、俺の両手をみて首を傾げた。 「どうしたの? その荷物」  右手にスーパーの袋を、左手に紙袋を抱えている。 「うん、ちょっと。誕生日、おめでとう」 「あ、ありがとう。とりあえず、どうぞ?」  部屋に入ると、両手にもった袋をテーブルの上に置く。 「あのさ、お昼ご飯、俺が作ってもいい?」 「え?」  沙耶の大きな瞳がさらに大きくなる。 「だめ?」 「だめなことはないけど……、大丈夫?」  不安そうに顰められた眉。そりゃあそういう顔にもなるだろう。一人暮らしもしたことがない、殆ど自分で料理を作る機会がない俺だし。 「多分」  正直に答える。 「でも、いつも沙耶にご馳走になっているし、せっかくの誕生日なのに美味しい、いいものをご馳走するのも出来ないし……」  だから、と出来るだけ微笑んでみせた。 「時間かかるかもしれないし、上手くいくかもわからないけど……、いいかな?」  沙耶は少しだけ俺の顔をみたあと、破顔した。 「うん、お願いします」  その顔に救われる。
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