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「で、今まで何あげたの?」
一通り喋って満足したのか、田村が聞いてくる。
「いや、プレゼントしたことないんだよね……」
「付き合ったばっかり?」
「もうすぐ一年」
「今まで何もイベントなかったわけじゃないだろ?」
「クリスマスはあったけど。プレゼントとかよりも、どこか美味しいもの食べに行こうってことになって」
その代金も殆ど向こうが負担してたし。
「いや、それでもなんか用意していけよ」
「あ、やっぱり?」
「そうだよ! 気がきかねーな」
怒られた。気にしてるのに。だって、むこうはジンジャークッキーとか焼いて持って来てくれていたわけだし。プレゼントとかそういうのじゃないよ、って言ってたけど、プレゼントじゃん。
「そんなこともあって、今回初プレゼントなわけで悩んでるんだよ」
「なるほどねー。ま、初めてのプレゼントだったら指輪じゃね?」
さらっと田村が言う。
「簡単に言うなよ。七歳年下から指輪もらって嬉しいかよ」
「別に結婚約束しているわけじゃないし、ああいうのはその場のノリだろ」
その場のノリで別れまくった奴に言われてもな。
それからちょっとぐさっときた。まあ、確かに結婚の約束とかしてるわけじゃないし、そんなこと俺の口からは言えないけど、出来ればしたくて付き合ってるのに。
「指輪じゃなくても、他のアクセサリーでいいじゃん」
黙っていた菊川が言う。
「ネックレスとか、ピアスとか、カノジョさんそういうのしない人なの?」
「ネックレスは、あんまり見た記憶ないなー。ピアスはしてるけど」
「じゃあ、それでいいじゃん!」
「……んー」
「なんだよ、なんか不満なのかよ」
「だって、用意できるの二万がぎりぎりなんだよ? カノジョから見たらちゃっちくないか……?」
相手社会人なのに? 自分で買った物の方がいいやつじゃん。普段の服とかにあわなくないか?
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