俺が生まれる七年前に

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 すっかり満足し、戦利品であるリボンを見て笑みを浮かべていると 「……りゅーいち?」  声をかけられて、動きがとまった。 「……なにしてるの?」  眠そうに目を瞬かせながら、割とはっきりした口調で沙耶が問う。 「しおりを!」  沙耶の手からとり、テーブルの上に伏せていた本を指差す。 「しおりを挟んでおこうと思って! どこまで読んだかわからなくなったら困るかなーって」  いつもより早口でいうと、 「あ、ありがと」  半分ぐらい閉じた目蓋でゆっくり微笑まれた。嘘ついてごめん、でもその顔可愛い。 「あとで起こすからもうちょっと寝てなよ? 最近、出張多かったんでしょう?」 「うん、ありがとう」  どうやら本当に疲れているみたいで、そのまま沙耶はまた目を閉じた。  言い訳通り付箋をとりだし、本にしおり代わりに貼っておく。何度も読み込まれたぼろぼろの文庫本。どんなものか知りたくて、読もうとしたこともあるけど最初の数頁で挫折した。  それから、沙耶にひざかけをかけておいた。  片手に握った赤いリボン。それをもう一度見つめる。自然に笑みがこぼれてくる。ここまできたら、あとは買い物に行って、当日を待てば良い。
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