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天井を見上げる。
今日も、ぐりんとした爬虫類の目のようなレンズが
キョロキョロしながらこちらを忙しなく監視する。
壁一面真っ白な四畳半の部屋。
中には硬いマットレスのベッドととってつけた様な便器だけ。
そして、窓は扉上部と反対側の壁にある細長いのが二つのみ。
そこから微かに漏れる光で辛うじて今が日中なのか夜なのかが分かる程度だ。
ベッドに座り一息吐いた処に、
カツカツカツと鉄でも仕込んであるような硬い足音が
扉向こうから近づいてくるのが聞こえた。
足音はちょうど部屋の扉の向こうで止まった。
ドンドンドンと激しく扉が叩かれる。
「真田、いい加減にしろ」
低く張りのある大声が響いてきた。
等々力の声だ。
監禁三日目にして、防衛庁事務次官様まででてくるとはと思うと、
笑いがこみ上げてきた。
声なく笑っていると、再び扉がドンと叩かれた。
「笑いごとじゃない! いい加減、〝アレ〟をどうしたのか吐け!」
窓からこちらを覗く等々力の声はだいぶイラついていた。
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