釣りしてたら

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釣りしてたら

 ある大きな島国の山奥に、お年寄りばかりが住んでいる集落が有ります。  そこに、ビルと言う赤く豊かな髪の幼い少年が居ました。  親元を離れ町から山奥までやって来たビルは、 自分と姉とおじいさんとの三人で暮らしています。  おじいさんはビルがもし独りになってしまっても自力で生きていけるようにと、 素手素足での武術を教えている他、 家から少し離れたところにある大きな湖に向かわせ、釣りをさせていました。  釣った魚は自分達で調理して食べ、余った魚を同じ集落に住む人達と物々交換して、 半自給自足の生活を営んでいます。  独りででも生きていく為の釣りなので、 おじいさんはビルを独りで湖まで向かわせますが、 ビルと同じく赤い髪の姉カノンは、おじいさんの考え方を頭では理解していても、  幼いビルが独りで水場に近付くのが、心配で心配でたまりません。  時々ビルの後を尾けては、 湖の辺りに座って糸を垂らす彼の後ろ姿を陰ながら見守っていました。 「ねえちゃん、つりしてくる」 「ビル君、気を付けてね」 「はあい」
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