ママ友たち

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ママ友たち

ココとニコは学校から帰ると、書道教室へ一緒に向かいます。敷地内で立ち話している他の部屋のおばさんたちに一言挨拶して行きます。おばさんたちは返事をしながらも、また取り留めのない話に戻ります。「また下手くそな字を習いに行ったわ!」とかネガティブな言葉を使う者もいます。それを発言したおばさんが、その子たちよりも下手くそな字を書く事を知っている周りの人たちは、そのセリフを無視します。自分が彼女と同じ土俵に立たないように他の話題に切り替えます。 今度は、「あの部屋の子は学校内でベスト10に入る成績らしいわよ!」とか、「あそこの部屋に住んでいる子は東大へ進学するつもりらしいわよ!」とかそういう話に口泡を吹かせています。人の事を言ってるヒマがあれば、こんな所で油を売ってないで自分を磨く事に使えばいいと思うのだが、当人たちはそれをする気がないからどうしようもありません。自分より抜きん出る者の揚げ足を取るのが趣味では、付ける薬がないでしょう。よそんちの子供達を虐めのターゲットにする視野の狭いおばさんたちの罠に掛けられてるとは知らない子供たちは、親に言われた事をする事で時間を使っています。 両親、とりわけ母親から「勉強しなさい!」とか、「これを習いなさい!」とか子供に指示してるのは、自分がママ友からの攻撃を避けるためです。 ママ友グループの中では、ボスママが絶対です。ボスママに嫌われると自分がグループのメンバーからイジメられます。学校の成績や習い事も監視されています。ボスママの株を奪わぬように子供たちの得意分野を限定して、「これだけは見逃してください。その代わり他の分野は下手くそなままにさせますので、 」と頭を下げています。他の母親たちも右に倣えと得意分野協定を結びます。これではワルシャワ条約です。この団地の中では、こんなルールを作って生活してます。 一番迷惑してるのが子供たちです。手に職がないよそのおばさんに自分の人生を歪められるのですから。 ボスママを避けるためだと知らずに書道教室へ通っているココとニコは、書道教室の生徒との関係に苦心しています。やはり、母親たちと同じように自分が虐められない処世術も書そのものの技術と同時に身につけて今日の課題に取り組むのでした。いやはや、母親もそうだけど、子供たちも面倒な人間関係で苦心するものです。
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