生贄

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今まで音楽に関心を持つことはなかったし、音色は人間が作り出すのではなく機械が作り出すものだと思っていた。 あまり周りの事に興味を持てないことを自負しているが、先程の彼女に関してはただ素直に綺麗だと感じた。 前に見た映画の風景とどこか重なって見えたのだ。 過去を題材にしたその映像は、あるオペラ歌手の生涯が語られたものであった。 月明かりはスポットライト、瓦礫の山はステージのようだった。 あの映画にも大した思い入れはなかったが、なんだか今は見て良かったと感じている。
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